本メルマガは、週1回程度を目安に以下の3つのパートから情報をお送りさせていただく内容となっております。

  • 「Paradigm Shift -新しい価値観-」
  • 「Unique Asset Management -独自の資産形成-」
  • 「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」

 

 

■Paradigm Shift -新しい価値観-


久々に海外投資、特に租税回避地と呼ばれるタックスヘイブンを取り巻く環境についてふれてみたいと思います。

巨大企業や富裕層の税逃れによって、世界の国々が失っている税収は年間4270億ドル(約47兆円)に上るとの調査結果があります。
汚職撲滅を訴えたヨルダンのアブドラ国王や格差是正のための税制改正を主張した英国のブレア元首相らが、タックスヘイブン(租税回避地)を
使って税逃れや財産隠しを図っていた実態が明らかになったのは記憶にあたらしいですね。

回避地の内幕を暴いた「パナマ文書」報道から5年。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、新たに入手した「パンドラ文書」に基づく
取材成果を公表しています。
租税回避地とのつながりが判明した政治家や政府高官は91カ国・地域の330人を超えます。幸いにも日本の政治家の名前は現段階では見当たら
ないようです。いたら逆に大変ですけどねw

租税回避地を巡る規制は「パナマ文書」報道などを受けて強化されてきましたが、富裕層だけが特権的に利用できる「抜け道」のようなものとして
は依然として残されています。

文書などによりますと、アブドラ国王は回避地に設立した企業36社を通じ、米英両国で14の不動産を購入。時期は中東で政権崩壊が相次いだ
2011年以降に集中していたとされています。一方、首相退任後に中東和平特使を務めていたブレア氏は、バーレーンの閣僚の家族から、ロン
ドンにビルを保有する回避地の法人を買収。ビルを取得するのに比べ40万ドル(約4400万円)以上の課税を免れた形となります。
いずれもそれ自体は「違法」「不正」とは言えないにしても、国民の目に触れては具合の悪い蓄財や「節税」であったことは否定できません。

16年の「パナマ文書」報道以降、国際的な税逃れに対しては一定程度、包囲網の整備が進んでいます。
代表的なのが、タックスヘイブン対策税制です。回避地や税率の低い国・地域に設立された実態のない海外子会社の所得は、親会社の所得と合算して
課税対象の所得として扱われるようになっています。さらに経済協力開発機構(OECD)が策定した「共通報告基準(CRS)」を通じ、税務当局が
国内居住者の海外金融機関の口座情報を収集することも可能になっています。

まだ、加盟発表を明らかにしていない国は42か国あります。
逆にCRSに参加しているのは2021年で98カ国の地域です。
https://www.oecd.org/tax/transparency/AEOI-commitments.pdf

個人的には、加盟していない国は、これはこれで国策と言えると思っています。富裕層の資金が流れ込んでくるわけですから。
でも、このタックスヘイブン活用は富の再配分の公正をゆがめる行為ですから、いずれ遅かれ早かれ、非加盟国もこの情報共有のネットワークには加盟
することになると思います。
はっきり言って、脱税と職権乱用による租税回避はいけませんよね。
ルールをしっかりと把握したうえでの節税は多いに行うべきだと思います。

 

■「Unique Asset Management -独自の資産形成-」

せっかくのタックス・ヘイブン(Tax Haven)の話題ですから、もう少し詳しく紐解いていきたいと思います。

上記にもあるようにタックス・ヘイブン(Tax Haven)は、課税が完全に免除されたり、著しく軽減されたりしている国や地域のことで、租税回避地、低価税
地域とも呼ばれます。主に税制上の優遇措置を地域外の企業に対して戦略的に設けている国や地域を指し、代表的な場所としてはイギリス領ケイマン諸島、
バージン諸島といったカリブ海の島国や、ルクセンブルク、モナコ、アメリカ東部のデラウェア州などが挙げられます。
日本の近隣でいうと、香港とシンガポールが有名です。
香港では、法人事業主について、利益のうち200万香港ドルまでは8.25%の税率(従来は16.5%)、200万香港ドルを超える利益については、従来通り16.5%
の税率で課税されます。また、シンガポールでは法人税率は17%だが、実効税率が複数の優遇税制や控除の適用により17%を下回っています。

もともとは税制優遇を国として掲げ、他国からの資金を呼び込み、金融立国するいうのが単純な狙いです。
小国でも大きな資金が入ってきて、そこに少しでも税金をかけることができれば大きな収益源となるわけで、それを利用・活用していたというのが本筋です。

ところが、多国籍企業や富裕層が、法人税や源泉徴収税が皆無に等しいタックス・ヘイブンに資産を移し、オフショア取引を利用して租税回避するケースが
多くなり、2016年5月「パナマ文書」が公表され、その利用実態の一部が明らかになりました。脱税行為や利益移転、マネーロンダリング、犯罪・テロ資金隠匿
などに悪用されるケースが目立つため規制が入ったきたというわけです。

OECDは「デジタル課税」と「ミニマムタックス」を進めています。
2021年7月、OECD(経済協力開発機構)にて検討されてきた「デジタル課税」と「ミニマムタックス」の大枠が合意されました。2023年からの導入を目指すとし
ています。

デジタル課税とは、経済のデジタル化に対応した、インターネットを通じて世界各国で事業を展開するグーグルやアマゾンなどの巨大IT企業に対する課税の
仕組みです。現行の国際ルールでは、国内に支店や工場といった物理的な拠点がない外国企業には原則的に課税ができないのです。

ミニマムタックスとは、タックスヘイブンに子会社を設立するなどして、実際に負担している税率(実効税率)が最低税率を下回った際に、本国の親会社などに
課税を上乗せする制度です。

デジタル課税は収益額7.5億ユーロ超の多国籍企業が対象であること、ミニマムタックスも、そもそも日本企業の多くがタックスプランニングに積極的ではない
ことから、あまり日本企業には影響がないと見られていますが、世界的な情勢として、タックスヘイブンを始めとする租税回避に対する規制がより厳しくなり
つつあるということですね。

 

■「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」

楽園バリスタイル・ナビゲーターの小野寺です!

~インドネシア最新ニュースをピックアップ~
インドネシア・バリ島から社会ニュース、経済ニュースからフレッシュな最新トピックをお届けします。

【乳製品原料輸入が来年拡大、飲食品協会予測】
インドネシア飲食品業者連合(Gapmmi)のアディ会長は、2022年に乳製品原料の需要がさらに高まるのに伴い、輸
入量も拡大するとの見通しを示した。新型コロナウイルス流行下で消費者の健康意識が高まり乳製品の需要が急速に伸び
ており、原料の輸入量は総需要の8割を占める可能性もあると指摘した。9日付ビスニス・インドネシアが伝えた。

アディ会長は、22年には乳製品の生産会社が新たに投資した工場の生産が始まるため、原料の輸入量が今年よりも多くな
ると指摘。同年の飲食品産業の成長率は7%になると予測されるのに対し、乳製品加工業に限定すれば2桁成長が見込ま
れるという。

産業省によると、20年の乳製品生産量は生乳ベースで385万トンだった。同年の生乳総需要は386万トン。これに対し、国
内の酪農農家による供給量は85万トンにとどまり、残り300万トンは輸入している。

酪農には巨額の投資が必要になることもあり、生乳の国内生産量は伸びていない。国家乳業審議会(DPN)によれば、
酪農協同組合の数も4年前から40組合減り、現在は55組合しか活動していない。

DPNのトゥグ会長は、乳製品原料にかかる輸入税の減免措置が乳製品産業だけを支援していると指摘。乳牛輸入に対す
る補助金など、酪農農家への救済策を政府に求めた。

 

【薬局ケアリング、インドネシア市場に参入】
マレーシアでコンビニエンスストア「セブン―イレブン」を経営するセブン―イレブン・マレーシア・ホールディングス
は11月29日、同社が75%を出資するドラッグストアのケアリング・ファーマシー・リテール・マネジメントがインドネシ
ア企業と合弁で、同国での医薬品流通・小売事業に参入すると発表した。小売事業では、マレーシアの一部地域で展開し
ている「ウエリングス」ブランドを使用する。

流通事業では、ケアリングが現地の医薬品・化粧品卸業者エラ・プリマ・インドネシアと共同で新会社「エラ・ケアリン
グ・インドネシア」(仮称)を設立する。出資比率はケアリングが50.1%、エラ・プリマが49.9%で、資本金は100億3,0
00万ルピア(約7,900万円)。新会社は医薬品、ビタミン、栄養補助食品、化粧品、パーソナルケア用品、健康食品、飲
料、乳児用品などの流通を手掛ける。

一方、小売事業はエラ・プリマが98.5%を出資しているエラ・ファーマ・インドネシアを通じて展開する。ケアリングは
エラ・ファーマの転換社債を総額239億5,000万ルピアで引き受けた後、社債を株式に転換し、エラ・ファーマに49.9%を
出資する見通しだ。

 

【日系の15%、コロナで日本人役員を削減】
経営コンサルティングの山田コンサルティンググループ(東京都千代田区)などがインドネシアの日系企業を対象に実施
した調査で、新型コロナウイルスの影響で日本人役職員を減らした、または減員を計画していると回答した割合が全体の
約15%に上ったことが分かった。一方で、インドネシア人役職員を増員(計画含む)した企業も1割程度あり、役職員を
インドネシア人に変更して現地体制の維持を図ろうとする企業が出てきているとみられている。

山田コンサルは、インドネシアの会計・税務などを中心に手掛けるコンサルティング企業のジャパン・アジア・コンサル
タンツ(JAC)と共同で、JACの顧客企業を対象に、10月11~22日にオンライン、またはメール方式で調査を実施。
コロナ下での日系企業の活動状況や、2020年11月に施行された雇用創出法『20年第11号』についての認識などを尋ねた。
有効回答者数は161人。同様の調査は昨年に続いて2回目。

インドネシア拠点の役職員の人数は、日本人、インドネシア人ともにおおむね8割の企業が「コロナ前から変動なし」と
回答した。一方で、日本人役職員がコロナ前より減少した、または削減を計画中と回答した24人のうち、16人がコロナ収
束後も「削減後の状態を維持する」と回答。「コロナ前の水準に戻す」は6人、「コロナ前よりも増員」は1人だけだっ
た。

インドネシア人役職員数については、「コロナ前より増員した(増員を計画)」が約10%、「コロナ前より減少した(削
減を計画中)」は9%だった。

雇用創出法に対する評価についても尋ねた。「期待しておらず予想通り」が全体の28%、「大いに期待していたが予想通
りではなかった」が23%と、ネガティブな評価があわせて半数を占めた。「期待していなかったが予想より良かった」は
9%、「大いに期待しており予想通り」は4%弱となり、ポジティブな評価は計13%にとどまった。

同法を評価できる点は「退職金負担の軽減」が全体の56%で最も多かった。評価できない点は「下位法令が改正されてお
らず、実施状況が不透明」との回答が51%と最大だった。

 

【入国隔離期間、10日間に延長 政府高官の海外渡航は禁止】
インドネシアのルフット調整相(海事・投資担当)は1日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の国内流入を
防ぐため、インドネシア人を含めた海外からの入国者に義務付けている隔離期間を、現在の7日間から10日間に延長する
と発表した。3日から適用する。香港、南アフリカなど計11カ国・地域に、過去14日間に渡航歴のある外国人の入国は引
き続き禁止される。これらの国・地域から帰国するインドネシア人に対しては14日間の隔離を義務付けている。このほか、
政府高官に対し海外への渡航を禁止した。

ルフット調整相は、政府高官に対し、重要な公務の場合を除き、海外への渡航を禁止すると明らかにした。またインドネ
シア国民に対しては、現在は海外への渡航を控えるよう呼び掛けているだけにとどまるが、今後は規制する方針も示唆し
た。

「変異株の新たな情報の入手に努めつつ、規制強化の方針を段階的に見直す」と述べ、海外での感染拡大状況を鑑みて、
入国禁止の対象国を増やしていく方針を明らかにした。現在インドネシアへの入国禁止対象国となっているのは、◇南ア
フリカ◇香港◇ボツワナ◇ナミビア◇ジンバブエ◇レソト◇モザンビーク◇エスワティニ(旧スワジランド)◇アンゴラ
◇ザンビア◇マラウィ――の11カ国・地域。

またルフット調整相は、変異株対策として、疾病で免疫力が低下している人や高齢者などを対象に、新型コロナワクチン
の3回目の接種となるブースター(追加)接種を来年1月に開始する方向で準備を進めていると明らかにした。

保健省は先に、2回目の新型コロナワクチン接種率が50%を超えない限り、ブースター接種は開始しない方針を打ち出し
ていたが、変異株への対策として早急にブースター接種を開始する構えだ。同省によると、2日午後6時時点での2回目
のワクチン接種率は47%。

■ガルーダ、バリ便を運休
インドネシアの国営ガルーダ・インドネシア航空は1日、今月5日からの運航を予定していた羽田―バリ島デンパサール
経由、首都ジャカルタ路線GA877便を運休すると発表した。

同路線は先月17日、インドネシア政府からの要請に基づき12月に4便を運航すると発表していたが、変異株「オミクロン
株」の影響で入国規制が強化されたため一転して運休となった。GA877便は、GA875便(羽田―ジャカルタ)に変更し
て運航する。これにより羽田―ジャカルタ便は毎週金・日曜日に運航する。

 

【ペリタ・エア、A320で首都拠点の路線就航】
インドネシアの国営石油プルタミナの子会社で、チャーター便の運航事業などを手掛けるペリタ・エア・サービスは、首
都ジャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港を拠点にエアバスA320を使用して定期便を運航する予定だ。11月30日付
インベストール・デーリーなどが伝えた。

運輸省航空局のノフィ局長によると、ペリタ・エアは現在、A320を使用した定期便の航空運送事業許可(AOC)の取
得手続きや、機体のメンテナンス契約、パイロットやエンジニアなどの人材の準備を進めているという。ペリタ・エアの
公式インスタグラムによると、11月29日までパイロットや客室乗務員を募集していた。

ペリタ・エア監査役のミカエル・ウンバス氏は「定期便の就航を計画しているのは、ビジネスチャンスがあるからであり、
国営航空ガルーダ・インドネシアの状況とは関係ない」と強調した。

経営悪化に陥っているガルーダ航空は、2022年までに運航路線を新型コロナウイルス流行前の237路線から140路線に削減
する予定を示している。

国立インドネシア大学で国営企業について研究するトト・プラノト氏は、「ペリタ・エアの定期便就航は、(ガルーダ航
空が路線を廃止する)遠隔地への航空便を補完することになる」との見通しを示した。

ペリタ・エアは先に、22年第1四半期(1~3月)に定期便を就航させる予定を明らかにしている。

(出典:NNA ASIA)

 

以上、今回はインドネシアの経済ニュースをメインにピックアップをしてみました。
乳製品の需要や、人々の健康意識への高まりは、私自身も日常生活を通して感じることが多いです。
子育てで使用している乳児用の粉ミルクは森永乳業の製品、おむつはマミーポコなど、日系製品も広く愛用されています。

コロナがもたらした、健康に関する人々の意識改革によって、外をランニングする人や自転車に乗って移動する人が増え
ました。健康サプリメントやお家で使えるトレーニング器具などがネット通販で人気商品になっています。そして中国製
品のウェアラブル時計を使う人もよく見かけるようになりました。

家の中を見回すと、電化製品や生活用品は安くてそこそこ質の良い中国製品が多く、食品や調味料、体に触れるもの、化
粧品などは日本製品が色々とあることに気づきます。一般人が手の届く価格対でかつ高品質であるものが今も愛される日
本製品の鉄則になっていると思います。

安いコモディティ製品では中国に太刀打ちできまんが、質の良い製品をしっかりとブランディングできれば、インドネシ
アの大きな成長市場の波にきっと乗れることでしょう。