本メールは、週1回程度を目安に以下の3つのパートから情報をお送りさせていただく内容となっております。

  • 「Paradigm Shift -新しい価値観-」
  • 「Unique Asset Management -独自の資産形成-」
  • 「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」
 

■Paradigm Shift -新しい価値観-


昨日、20日間のBali・Jakarta・Philippinesの出張を終え、日本に帰国しました。
帰国後のご飯は札幌系の味噌ラーメンだったことは秘密です。

さて、以下に挙げた順位ですが、これらなんのランキングだと思いますか?

アジア順位 世界順位 
1     1    インドネシア
2     6    中国
3     9    マレーシア
4     16    台湾
5     17    韓国
6     18    インド
7     24    ベトナム
8     42    タイ
9     46    日本
10     57    フィリピン

実はこれ、オランダの会計・総務アウトソーシング大手TMFグルー発表した2020年版の
世界でのビジネスの複雑度をあらわしたアジアの国の順位と、それぞれの世界ランキング
をまとめた「世界ビジネス複雑性ランキング」です。

ビジネス環境が世界で最も複雑と栄えある一位を獲得したのはなんとインドネシアでした。
ちなみに東南アジアで最もビジネスがしやすいのはシンガポールという結果でした。

TMFは世界77カ国・地域を対象に、「規制・法律・罰金」「会計・税務」「雇用・解雇
・給与」の3項目を基に順位付けした。順位が高いほどビジネス環境が未整備であること
を示しています。

インドネシアは世界ランキングで1位となり、最もビジネス環境が未整備な国と評価され
た形です。

TMFシンガポール法人のディレクターが、メディア向けの説明会での話にて、インドネ
シアが低評価である理由について、「同国の労働法は、労働者にとって非常に有利。加え
てビジネスに関する3万件以上の法規制が互いに重複しているため」と言っています。

そして、アジア地域で2番目に評価が低かったのは中国。省レベルの自治体から国の政府
まで、複数の行政組織が層になっていることなどが複雑性を高めているといいます。

逆に同域内で最も評価が高かったのは香港で、シンガポールは東南アジアで首位という結
果となりました。これは政府がさまざまな面で電子化を進めていることが評価されていま
す。シンガポール人の多くは、英語と中国語の両方を流暢に話しますし、規制や会計、雇
用以外の側面においてもビジネス環境は良好という理由です。

日本は9位でしたが、この理由としは日本語でしか各種手続きができないことがあげられ、
また印鑑文化が評価を押し下げた形となっています。

インドネシアが「世界ビジネス複雑性ランキング」で世界でも一位となったわけですが、
どおりでインドネシア進出のビジネスコンサルがいないわけです。これは逆の見方をする
と参入障壁が高いといえます。参入障壁の高い国で進出サポートを行っている我々は希少
価値が高いのかもしれないと再認識しました。

2035年まで人口ボーナスが続くインドネシアですから、今後進出を検討している企業は早
いところインドネシアに進出して独自ノウハウを構築することで、業種・業界でのリーデ
ィングカンパニーになれる可能性を大いに秘めているといえるわけですね。


 

■「Unique Asset Management -独自の資産形成-」


今回はインドネシアはJakartaのベッドタウンエリアの不動産開発投資をご紹介したいと
思います。そのエリアとはJakartaの南西にあり、地図上では左下のタンゲラン市。
まずはこのエリアがどんなところからかご紹介していきたいと思います。

タンゲラン市の不動産セクターは、2024年第2四半期の投資実現総額の42%、1.6兆IDRを占
めています。この成長の原動力は、有料道路や公共交通機関へのアクセスが便利なことで、
特に中間層や下位中間層の投資家や購入者に人気を博しています。

東京からみた千葉・埼玉のように、ジャカルタの限られた土地が ベッドタウンとみられる
このタンゲランエリアの価値をさらに高めています。コンドミニアムの販売率は77.4 %で、
このセクターはポジティブな傾向を示しています。

タンゲランエリアのポテンシャル

〇戦略的立地
? 交通の便 : タンゲラン市は、有料道路、通勤電車、スカルノ・ハッタ国際空港を経由し、
ジャカルタへのアクセスに優れており、ジャカルタで働き手頃な価格の住宅を求める人に
と って戦略的な場所。
? 工業地域:ジャカルタの重要な工業拠点としてのタンゲランは職場の近くとしての大き
な住宅需要をもっています。

〇 急速な経済成長
? GDP増加 : タンゲランの経済は、工業、不動産、サービス業への投資により急速に成長。
? 不動産価格の上昇 : 高い住宅需要が不動産価格の上昇につな
がり、長期的な投資対象として有益な地域となっている。

〇 充実した施設とインフラ
? 公共施設:タンゲランには、病院、学校、ショッピングセンター、レクリエーションエ
リアなどのインフラ、商業施設があり、人口増加を支えるために開発が続けられている。
? 交通:今後予定されているMRT、LRT、BRTのプロジェクトにより、タンゲラン市内のアク
セスはさらに向上する。

〇 急速な人口増加
? 若年人口:タンゲランの人口は労働年齢層が多く、安定した住宅需要を確保している。
? 人口増加 : 急成長により、新たな住宅開発の必要性が高まっている。

土地面積 :776 平方メートル
土地の合法性 :土地使用権 と土地所有権 (2つの証明書)
所有権状況 :1名のオーナー(個人)
土地価格 :IDR 3,113,500
:支払いは9回分割払い
総販売戸数 :8戸(スタンダード:7戸、スペシャル:1戸)

総投資額 : IDR 20億ルピア (約2000万円)
投資期間:12ヶ月
初期投資の回収:販売戸数に応じて比例配分
投資家への利益配分:プロジェクト終了時に利益の60%: IDR 906,256,200 (約900万円)
ROI : 45%

開発会社は、PT.Bumi Cendana Indah
この会社は、2013年以来タンゲラン 市の不動産ディベロッパーとして、高品質な住宅を提
供しています。同社は7つの住宅地の開発に成功しており、住宅を求める人々の最良の選択
肢となっています。早く建てて、早く売る」アプローチで、効率を重要視しながら品質を
維持し、継続的な成長と革新的なプロジェクトを可能にしています。
各開発 物件は、現代的なライフスタイルをサポートするよ う配慮して設計されており、
タンゲランの不動産市場で大きな信頼を獲得しています。

 

■「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」


今回のParadigm Shift -新しい価値観-でご紹介したように「世界ビジネス複雑性ランキン
グ」で世界で1位となっているインドネシアですが、それはインドネシアにおける会社設立
の場面からも読み解くができます。

一緒に事業をおこなっている株式会社インドネシア総合研究所の代表のアルビー氏のコラム
からこの会社設立に関する考え方をご紹介したいと思います。

今回は、インドネシアにおける“ノミニー制度”についてお話したいと思います。
インドネシアは長らくネガティブリストにおいて、規制の対象となる分野については業種毎
に出資比率が定められておりました。しかし、2021年に規制が大きく改定され、一部分野を
除いて外資100%での進出が可能となりました。

しかし、外資法人を設立するためには、払込資本金が100億ルピア以上必要となります。
100億ルピアを用意することは企業・個人にとってはなかなか容易なことではないでしょう。

そこで、選択肢としては考えられるのは、インドネシアにおける内資法人の設立です。イン
ドネシアでは1%でも外国人の資本が入ってしまうと外資法人になってしまうため、内資法人
の設立とはつまり100%ローカルの企業・個人が設立することになります。

インドネシアでは法人設立には株主が2名(もしくは2社)必要となります。日本人がインドネ
シアで内資法人を設立しようとすると、これは実質“ノミニー制度=名義貸し”を用いた法
人設立となります。
インドネシアにおいてノミニー制度は禁じられているという話を聞いたことがある方もいら
っしゃるかと思いますが、実際にはどうなのでしょうか?
この記事では、根拠法律を探っていきたいと思います。

インドネシアにおける名義貸しについて、関連する法律は以下の通りとなります。

法的根拠
・民法(KUHPer)
・株式会社に関する法律2007年第40号(UUPT=「会社法」)
・投資に関する法律2007年第25号(UUPM=「投資法」)

まず、会社法第5条第2項には、法律で特段の定めがない限り、外国からの投資はインドネシ
ア法に基づく株式会社の形態となり、インドネシア共和国領土内に住所を有しなければなら
ないと規定しています。

そして、投資法第33条第1項および第2項では、国内投資家並びに外国の投資家は、株式会社
の株式の所有権の所有が目的であることが確認できる契約および/または声明を作成するこ
とを禁止すると規定されており、国内投資家並びに海外投資家が他人名義で契約および/ま
たは声明を作成した場合、その契約および/または声明は法律により無効とみなされる旨記
載がされています。

もう少し詳しく見てみると、投資法第33条第1項について、この項目の目的は、誰かによっ
て所有されているが実質的な所有者が他人である会社の発生を回避することです。
つまり第1項では名義貸しを禁止する旨が記載されているのです。

では、実際に名義貸し契約を行った場合の罰則はどうなっているのでしょうか?
第33条第2項では、実際に名義貸し契約を結んだ場合の罰則規定はされていません。つまり、
名義貸しの契約を結んだとしても、刑事的な罰則はなく、結んだ契約が無効になるというこ
となのです。

会社法第48条第1項において、会社の株式は所有者の名義で発行されると説明されているこ
とに留意すると、この規定が意味するところは、会社は所有者の名義でのみ株式を発行す
ることができるということです。上記の通り、株式の名義を借用するような契約の締結は
インドネシアにおいては禁止されており、このような契約が締結され裁判に持ち込まれた
場合には無効となります。

法律による“無効”の意味についてさらに議論する前に、契約の有効条件について見てみ
ましょう。民法は契約の有効条件を規定しており、民法第1320条で次のように規定されて
いることを事前に把握しておく必要があります。

有効な契約が成立するには、次の4つの条件を満たす必要があります。

当事者間で自らを拘束する合意があること
当事者には契約を締結する能力があること
契約の対象となる一定の目的物があること
契約の原因が適法であること

それぞれの項目をもう少し詳しく見ていきましょう。

1)当事者間で自らを拘束する合意があること
合意とは、合意を形成するための双方の意思と合意があることを意味します。
民法第1321条で明示されているように、誤って締結された場合や、脅迫、詐欺などによる
契約は、いかなる場合も強制力を持ちません。

2)当事者には契約を締結する能力があること
民法1330条では、契約を締結できない者として、未成年の子供、後見人、法律で定められ
た場合の既婚女性、および一般に法律で特定の契約を結ぶことが禁止されているすべての
人々と規定しています。

3)契約の対象となる一定の目的物があること
民法第1234条によると、有効な契約条件において特定の事柄が意味するものは、契約の目
的、つまり履行、例えば何をするか、何をしないか、についてです。

4)契約の原因が適法であること
民法第1337条に基づき、法律で禁止されている場合は公序良俗に反する場合には禁止され
ています。

条件1)と条件2)は主観的条件であり、契約締結時に主観的条件に不備があった場合は、契
約は無効とはならず、当事者の一方から契約解除を求めることができます。
この当事者とは、例えば法的責任を取る能力がないとみなされた人や間違えたり騙された
りして契約を結んだ人などが該当しますが、契約の解除を望むかどうかは利害関係人にゆ
だねられます。契約の解除が求められ成立した場合は無効となります。

条件3)と条件4)は客観的な条件であり、どちらかを満たさなければその契約は無効となり
ます。条件3)が契約に含まれていない場合は、各当事者が何を約束したのかが不明である
ため、契約は履行されません。また条件4)について、合法的でない契約については法律や
良識に反するため履行されないことは明らかです。

名義貸しについては、ノミニー契約が有効であるための条件4)が満たされていません。
この場合は、名義貸しの契約書の作成が法律で禁止されているため無効となります。

規則用語集から引用すると、「null and void」という言葉で示されます。これは無効を意
味する言葉ですが、民法第1335条では、理由のない合意、虚偽の理由や禁止された原因に
基づいて締結された契約には効力がないことを定めています。
これはつまり、この契約は最初から存在しなかったとみなされることを意味します。

会社の株式所有権に関して紛争が生じ、その所有権が名義借用契約に基づいていることが
判明した場合、法的な影響は生じず、該当の契約は存在しなかったとみなされ、株式を
所有する実際の当事者は株式を取得する権利があります。

政府が名義貸し契約を禁止している理由として、マネーロンダリング、テロ資金供与、
汚職犯罪行為の防止などが挙げられます。

上記の通り、インドネシアの法律においては名義を貸す契約書が禁じられているのであ
って、名義貸し制度を禁じているわけではないのです。
名義貸しについて罰則規定がなされていないので、裁判に持ち込まれた場合は契約が無
効になりますが、これはつまり、インドネシアで名義貸しを用いて会社を設立すること
は、法律的なリスクは発生というよりもむしろビジネス的なリスクとなります。

名義貸し契約を積極的に推奨するものではございませんが、スキームの一つとして、イ
ンドネシアに信頼できるパートナーがいる場合などは検討しても良いでしょう。

弊社は過去に法人設立の実績が多数ございます。

と、ここまでがアルビー氏のコラムを引用しておりますが、ノミニー設立のためのSPCの
存在や、株をどのような取り扱うかなど細かなポイントもありますし、弊社のBali法人
においては、弁護士事務所を上手に活用しております。