本メルマガは、週1回程度を目安に以下の3つのパートから情報をお送りさせていただく内容となっております。

  • 「Paradigm Shift -新しい価値観-」
  • 「Unique Asset Management -独自の資産形成-」
  • 「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」
 

■Paradigm Shift -新しい価値観-


ESG投資というキーワードは最近よく耳にしますよね。
では、このESGとはそもそもどんなものなのか、見ていきたいと思います。

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)という3つの要素からなり、ESG投資
とは、投資先の企業を決めるにあたって財務情報だけでなく、これらを考慮した投資の手法(考え方)です。
具体的には、「企業が環境負荷を軽減する取り組みをしているか」「社会的責任を果たしているか」「適切なガバ
ナンス体制を敷いているか」などを評価し、その評価に基づいて投資を行うことを指します。

ESG投資の「E」「S」「G」それぞれの詳しい意味や具体例は以下のとおりです。

E(Environment=環境)
「E」は、環境(= Environment)を意味します。ESG投資においては、企業が自然環境に配慮した経営を具体的に行
っているかなどの点を投資先選定の判断基準とします。具体的には、気候変動対策や水質汚染対策、産業廃棄物や温
室効果ガスの削減に取り組んでいることなどが挙げられます。

S(Social=社会)
「S」は、社会(= Social)を意味します。ESG投資においては、企業が適切に社会的責任を果たしているかなどの点
を投資先選定の判断基準とします。具体的には、働く人の人権や安全にしっかり配慮できているか、働き方改革を推
進しているか、女性や高齢者、障がい者などを雇用し、ダイバーシティ(多様性)を尊重しているかなどです。
また、地域社会への貢献などもここに含まれます。

G(Governance=企業統治)
「G」は、企業統治(=Governance)を意味します。ガバナンス(企業統治)とは、簡単に言うと、企業の内部不正や
コンプライアンス違反などを防ぐ仕組みのことです。ESG投資においては、ガバナンス体制が整えられているかなどの
点を投資先選定の判断基準とします。具体的には、役員の報酬が適正であるか、情報漏洩などに対するセキュリティ
対策ができているか、株主に対して透明性のある情報開示を行っているかなどが、ガバナンスの強度を図る目安とし
て挙げられます。

ESG投資の起源は、1920年代にアメリカで広がったSRI(Socially Responsible Investment=社会的責任投資)にある
とされています。SRIは、キリスト教の価値観にしたがって、武器やたばこ、お酒などを提供する企業には投資しない
とする手法でした。

その後、1960年代頃から欧米を中心に社会問題や環境問題への関心が高まってきたことを背景に、2006年に国連がPRI
(Principles for Responsible Investment=責任投資原則)を策定します。PRIとは簡単に言うと、投資家に対して
ESGの観点に配慮した投資を推奨するガイドラインです。

PRIをきっかけに、ESG投資の認知は世界的に広がり、ESG評価に基づく投資商品の提供も始まりました。2015年にはさ
らにSDGs(持続可能な開発目標)がニューヨークの国連サミットで採択され、環境問題や社会問題に対する世界の関心
はますます高まることになりました。

こうした中でESG投資は、持続可能な社会を実現するための手段のひとつとして高い注目を集めている状況です。

前述の歴史からもわかるように、ESG投資が注目されている背景には、環境問題や社会問題への関心が世界で広がって
いることがあります。なお、ESG投資は単なる寄付やボランティアなどとは異なり、自らの資産形成を目的とした投資
戦略としての実利的な側面もあるのが特徴です。

たとえば、現在、世界は気候変動や資源枯渇などの深刻な課題に直面しており、環境問題に関する消費者のリテラシー
も高まっています。こうした中で、自然環境に何も配慮せず生産活動を行っている企業があったとしたら、その企業は
消費者から反感を買い、業績を悪化させかねません。これは労働者の人権問題や内部不正などの問題についても同様です。

「社会的責任を果たしていない企業」というブランドイメージは、明らかに経営上のリスクにつながります。

したがって、昨今では、投資先の企業を決める際に「ESG」という非財務情報もチェックすることは、投資先企業の潜
在的なリスクを把握し、投資のリスクマネジメントをするために有効な手法としても注目されるようになりました。

ESG投資は、近年ますます注目を集めており、今後の投資における重要性も増していく見込みです。たとえば、財務省が
2022年に公表した資料「ESG投資について」によると、近年の消費者は特に若年層を中心に、ESG要素に配慮した製品を
購入したいと考える傾向が強まっています。

また、国内機関投資家の運用総額に占めるサステナブル投資の割合も、2016年には20%以下だったのが、2021年には60%
を超えるに至りました。

 

■「Unique Asset Management -独自の資産形成-」


今回は、ESG投資をもう少し掘り下げていきたいと思います。
ESG投資では、投資先の企業を選ぶ方法に、いくつかの種類があります。以下では、主な投資先企業選定方法の種類につ
いてみていきたいと思います。

◇ポジティブスクリーニング
ポジティブスクリーニングとは、同業種の中でもESGに積極的に取り組んでいる企業を投資先として選ぶ方法です。
たとえば、再生可能エネルギーの開発や、社会貢献活動を積極的に行う企業を投資先に選択することが挙げられます。
反対に、ESGの観点からみて好ましくない企業・業界を投資先から排除することをネガティブスクリーニングといいます。

◇国際規範スクリーニング
国際規範スクリーニングは、投資先企業を選択する際に、環境保護や人権の保護、労働基準などをそれらに関する国際規
範に照らして判断する方法です。具体的な規範としては、UNGC(国連グローバルコンパクト)やILO(国際労働機関)が
発行するものなどが挙げられます。

◇ESGインテグレーション
ESGインテグレーションとは、従来の財務分析にESG要素も組み込んで投資先を決定する方法です。財務要素だけでもESG
要素だけでもなく、総合的に企業を評価するための方法として昨今広がっています。

ESG投資によって投資家側が期待できるメリットには以下のようなものがあります。

◇投資先選定におけるリスク管理の強化
ESG投資は投資先企業が抱える業績悪化を招く可能性がある問題を把握するのに効果的です。ESGのチェックを行えば、
環境問題や労務問題に関する規制に抵触する企業に投資してしまうなどのリスクを減らすことも可能です。

◇長期的なリターンの向上
ESG投資は、間接的に企業が持続可能な経営を行うことを促すため、企業がそのような経営に成功すれば、長期的かつ安
定的な利益を得られる場合もあります。また、昨今はESG関連の技術は社会的需要が高いので、ESG技術を提供する企業
を投資先として選び、その企業がそうした面で成果を出せば、結果として、長期的に利益が得られる可能性もあります。

◇社会貢献が可能
環境問題や社会問題の解決に取り組む企業へ投資することで、持続可能な社会の実現へ貢献することが可能です。同じ
利益を得るのでも、社会的意義があるかないかでは、精神的な満足感が大きく異なるでしょう。

社会貢献が可能なESG投資ですが、一方では「名ばかりESG」と呼ばれる問題も指摘されています。名ばかりESGとは、
ESG投資をうたいながらも、実際にはESGの観点から企業を厳しく審査せず、表面的な取り組みや企業の自己申告などに
もとづいて投資することです。
このような投資は、企業の持続可能性を正しく判断できないだけでなく、環境問題や社会問題の解決にも貢献しません。
また、ESG投資そのものの信頼性を損ない、市場の混乱を招くおそれもあります。

こうした問題を背景に、ESG投資における評価基準の統一化や、情報開示や監査の強化、義務化などが求められています。
金融庁ではさまざまな取り組みを通じて、こうした名ばかりESG投資の防止に努めています。

2022年5月に金融庁が公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2022」では、「ESG投信を取り扱う資産運用会社
への期待」をとりまとめ、ESG投資を取り扱う資産運用会社に対して、顧客への十分な説明や情報提供、適切な商品提供
を行うべきとの期待を示しました。
この期待にもとづき、2023年3月、金融庁はESG投信に関する「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正
を行い、ESG投信の範囲や情報開示、態勢整備についての検証項目などを定めています。

ESG投資は、株式投資、債券による投資、投資信託などの方法で開始することが可能です。
以下では、それぞれの投資方法について簡単に解説します。

① 株式投資
株式投資は、企業の株式を購入することで配当金や売却差益などを狙う投資方法です。ESG投資を行う場合は、先に紹介
したESG指数や企業理念、事業方針などを参考に、ESGに貢献している企業の株式を優先的に購入します。
ESG投資は、持続可能な社会を実現するための手段という意味合いもあるため、投資した企業の活動を支援するという観
点も考慮すると、株価変動などに応じて短期売買を繰り返すのではなく、長期投資をするのもひとつの選択肢です。
ただし、株価の変動や企業の経営状況などによっては、損失を出すリスクもあるため、リスク管理は十分に行いましょう。

② 債券投資
債券投資は、企業が発行する債券(社債)を購入することで行う投資方法です。債券の購入とは、簡単に言うと、「企業
にお金を貸し出すこと」です。債券を購入すると、一定期間利息を受け取った後で、債券の購入に要した元本の償還(返
済)を受けられます。
一般的な傾向としては、債券による投資は株式投資と比べてリスクが低く、安定的なリターンが期待できるのが特徴です。
ただし、債券を発行している企業の経営状況などによっては、利息や償還が受けられない債務不履行の状態となる可能性
もあるため、注意が必要です。

③ 投資信託
投資信託とは、投資家が資金を出し合って大きな資金としたうえで、専門家がその資金の運用をする金融商品です。どの
ような銘柄に投資しているのかを見極めたうえで、商品を選択できるので、投資信託でもESG投資を行えます。
投資信託は、自分自身で個別銘柄の売買による資産運用をする必要がなく、元本も少額から始められるので、投資の知識
を勉強中の方や、投資のための時間や資金が多くないという方でも始められるのが魅力です。
ただし、投資信託はリスク性のある金融商品であり、損失を出す可能性もあることは念頭に置いておきましょう。

上記以外には、直接投資というものもあります。
事例としまして、Philippinesでの太陽光事業の株主になるというものがあります。

こちらのProjectは再生可能エネルギーをもって、まだまだ発展の余地がある新興国の該当地域の経済発展の支援、ならび
に雇用創出をおこなっていくという社会性があるとともに、外貨で継続的に収益を作ることができる太陽光事業を行う
ホールディングカンパニーのビジネスオーナーになるものです。

全体で6500万peso(1億7500万円)億円の投資枠で、1口500万peso(約1350万円)

ホールディングスへのボードメンバーとしての参加となります。
この資金は、太陽光Projectにおける各種事業資金の割当となります。土地の取得と事業者IDの取得、現地での関係調整費
などになります。今後、Projectごとに発電事業を行う会社(SPC)を1号、2号、3号などと割りあてていきますが、そこの
マネジメント(AM・PMなど)を行うことにより各SPCより2.5%のマネジメント報酬による収益を確保し、0.5%分は内部に
留保し、うち2%分を株主に還元するスキームとなります。

リターンとしては、事業開始から100Mごとに利回りが25%以上を受け取るような内容となっています。
こちらの太陽光事業の株主への出資概要詳細をお知りになりたい方は佐々木までお問合せください。

 

■「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」


日比、「準同盟」へ一歩=対中国で共同歩調

今回のメルマガはESGというのがキーワードでもありますので、インドネシア・ジャカルタの大気汚染について触れて
いきたいと思います。

インドネシアのジャカルタ首都特別州は、年々大気汚染が深刻な問題となっています。ジョコ・ウィドド大統領でさえ
も、大気汚染が原因とされる咳が続いていることが報じられています。交通機関や産業由来の排気ガス、家庭活動に至
るまで、常に多数の汚染源と闘っているジャカルタ州政府は、在宅勤務(Work from Home: WFH)制度の導入など、大気
汚染の根強い問題に対処するための対策を講じてきました。一方、こうした努力では、ジャカルタの長年の大気汚染問
題解決には十分ではないとの懸念も生じています。

スイスの『IQAir』が提供する大気汚染情報プラットフォームによると、2023年8月から10月にかけて、ジャカルタの大
気質指数(AQI)は160から100、即ち「レッドゾーン:健康に有害(151-200)」から「オレンジゾーン:敏感な人の健康
に有害(101-150)」のレンジを前後しています。これは、同ウェブサイトの「最も汚染された都市のランキング」にて、
常に10位内に入る汚染レベルです。これに対し、東京の大気質指数は一桁台と「グリーンゾーン:良い(0-50)」に留ま
り「最もきれいな都市のランキング」上位にランクインしています。

インドネシア、ジャカルタの大気汚染の汚染物質のひとつはPM2.5です。『IQAir』の観測によると、ジャカルタにおけ
る10月のとある平均的な1日の午後のPM2.5数値は、34.8μg/m3(マイクログラム/立方メートル)です。この数値は、世
界保健機関(WHO)が推奨する「人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準」として定められた年間平均値
である5 μg/m3を大幅に超過しています。同日同時間帯の日本の数値は2μg/m3であることからも、ジャカルタの大気汚染
の深刻さが伺えます。

インドネシアのジョコウィ大統領は、ジャカルタの大気汚染を悪化させている3つの主な原因として、交通機関からの汚
染物質排出、産業的な石炭使用による汚染物質排出、乾季の長期化を挙げています。

◇交通機関からの汚染物質排出
中でも交通機関からの汚染物質排出は、特に大きな割合を占めています。インドネシア環境林業省(Kementerian
Lingkungan Hidup dan Kehutanan:KLHK)によると、ジャカルタの大気汚染源とその占める割合はオートバイや自動車
(44%)、産業(31%)、家庭活動(14%), 発電(10%)…と続きます。
ジャカルタへ訪れたことのある方はお分かりかと思いますが、インドネシアでは人口の約85%がオートバイを保有して
おり、特にジャカルタのオートバイの台数は増加の一途を辿っています。オートバイは、1人当たり7g/kmの一酸化炭素
を発すると言われ、バスや他の自動車からの排出量をはるかに上回るため、その急増は、ジャカルタの大気の質に大きな
脅威をもたらしているのです。

◇産業的な石炭使用による汚染物質排出
ジャカルタ近郊で稼働中の418箇所の産業施設のうち、セメント、鉄鋼、石油・ガス精製、石油化学製品、石炭火力発電
などを扱う136箇所が、いわゆる高排出部門に当たると考えられています。エネルギー・クリーンエア研究センター
(Center for Research on Energy and Clean Air:CREA)の調査によると、石炭火力発電所は一連の工業施設とともに
主な大気汚染の原因となっており、半径100km以内に13の発電所が近接しているジャカルタでは、特に深刻な影響を及ぼ
しています。

その他にも、無秩序なゴミの焼却も、ジャカルタの大気汚染の大きな原因の一つとして指摘されています。ゴミを燃やす
煙には有害な化学物質が含まれており、大気質の問題を悪化させているのです。調査によると、ジャボデタベック(ジャカ
ルタ首都圏の総称)でのゴミ焼却量は年間240.25Gg(ギガグラム)、約24万トンにも上り、10万ha以上の森林を焼却した
のと同等の温室効果ガスを放出していると言われています。

◇乾季の長期化
専門家の調査によると、インドネシアの現在の乾季は、エルニーニョ現象がもたらす気候の温暖化の影響を受け、過去4
年間で最も厳しいものになっているといます。今年は10月までに既に27万近くの森林が炎上しており、森林火災も深刻
な大気汚染の要因の一つとなっています。

この件については国境を超えて近隣諸国からも被害の声が上がっており、シンガポールの多国籍ニュースチャンネル
『Channelnewsasia』が報じたところによると、マレーシア政府は、マレーシア国内の一部で大気質が不健康なレベルに
達しているとして、インドネシア政府に対策を講じるよう要請しました。マレーシアやシンガポールでは、南西季節風
(モンスーン)の影響を受け、乾季に当たる5月~10月に、大規模な野焼きや森林火災により生じた煙がインドネシア側か
ら流れ込む煙害(ヘイズ)が観測されています。

一方インドネシア政府は、煙害の主な要因はインドネシアの森林火災のせいだと非難するマレーシア当局の主張を否定
し、国境を越えて漂う煙は感知していないと反論しています。マレーシアの環境大臣は、この件に関してインドネシア
側に書簡を提出したことを報告し、例年観測されるヘイズを正常なものと考えるべきではないと述べ、インドネシア政
府に適切な対処を求めています。

冒頭でも触れたように、これらの大気汚染の危機を受けて、インドネシア政府も地方政府も様々な政策を導入していま
す。これまでに、車1台につき4人以上乗ることを走行の条件とする『4 in 1』政策、自動車の排ガス試験、電気自動車
の推進、先述の在宅勤務(WFH)制度などが行われてきました。在宅勤務制度はジャカルタ州政府によって近頃導入され
たもので、2023年8月21日から2ヶ月間を試行期間とし、公務員の50%が在宅勤務を義務付けられました。

一方、こうした対策については厳しい声も上がっています。ジャカルタ市民により設立された団体「クリーンエア連合
イニシアチブ運動(Gerakan Inisiatif Bersihkan Udara Koalisi Semesta:GIBU)」の都市活動家Elisa Sutanudjaja
氏は、在宅勤務制度は「通勤」というごく一部の交通機関利用の制限に過ぎず、日常生活における過度の自家用車依存
という広範な問題には対処できないと主張しています。また、インドネシア環境林業省環境庁が排ガス検査の自動車の
オフィスエリアへの乗り入れを禁止していることについても、未検査車の乗り入れ制限を実施していない他のエリアに
おける公害を見過ごす中途半端な対策だと指摘しています。

今回は、インドネシアの首都ジャカルタの大気汚染事情についてご紹介いたしました。ジャカルタの大気汚染との戦い
において、在宅勤務制度などの現在実施されている政策は汚染の一時的な緩和に過ぎず、より広範な交通問題への取り
組みや、様々な汚染源を考慮した総合的なアプローチの必要性が明らかになっています。
この問題は、インドネシアの住民の生活の質に影響を与えるだけでなく、ビジネス環境にも影響を及ぼします。こんな
点も踏まえてインドネシアでのビジネスや進出のサポートなどを行っています。

(出典:Indonesia総研)