本メルマガは、週1回程度を目安に以下の3つのパートから情報をお送りさせていただく内容となっております。

  • 「Paradigm Shift -新しい価値観-」
  • 「Unique Asset Management -独自の資産形成-」
  • 「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」
 

■Paradigm Shift -新しい価値観-


日本を離れて29日目、帰国まで残すところ2日となりました。
今回はインドネシアに焦点を絞って情報をお届けしたいと思います。

日本では少子高齢化や人口減少が叫ばれて久しいですが、インドネシアではいまだに人口拡大が進み、今や世界4位の人口を抱える
大国として注目を集めています。今回は、そんなインドネシアの現在の人口動態や政府の掲げる将来像「GOLD INDONESIA 2045」を
そして日本にとってのインドネシアの重要性について、あらためてご紹介していきたいと思います。

インドネシアは、2023年現在で約2億7300万人以上もの人口を抱えています。
インドネシア中央統計庁(BPS)によれば、インドネシアにおける人口増加の伸びは徐々に穏やかになるものの、少なくとも2050年まで
一貫して増加を続ける見込みです。最新の人口予測では、2032年頃には人口3億人を突破すると予測されています。日本の2022年の総
人口がおよそ1億2500万人で前年比64万4千人の減少となっていることを考えると、インドネシアの人口増加の規模がよく理解できます。

人口ピラミッドは男女別・年齢別の人口分布を示すもので、グラフの形状により、「富士型」「つりがね型」「つぼ型」などに分類さ
れますが、インドネシアは現在、多産多死で高齢者人口の割合が少なく、15歳未満の人口の割合が多い富士山型から、高齢者人口の割
合が少なく、0歳から65歳未満の人口の割合が一定しているつりがね型へと移行しつつあります。
ただ、一般につりがね型では人口は安定期に入るとされていますが、インドネシアでは人口が拡大を続け、まだまだ若者のボリューム
が大きいのが特徴です。2023年時点の平均年齢は29.9歳で、街中でも子どもが多く、職場などでも若い人の姿が目立ちます。

ちなみに2020年時点でのインドネシアにおける平均年齢は29.2歳だったため、わずかに上昇がみられます。平均年齢の伸びには、イン
ドネシアにおける医療環境や健康状態の改善に伴い、高齢者の人口が増加傾向にあることなどが理由として挙げられるでしょう。

参考:https://www.worldometers.info/world-population/indonesia-population/ (最終アクセス:2023/09/12)

インドネシアの生産年齢人口の割合は2022年時点で約68%と、生産年齢人口が高齢者と子供の数を上回る「人口ボーナス期」に入って
います。人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に消費が活性化するため、経済が拡大しやすく、社会インフラも整いやすいとされて
います。インドネシア政府によれば、人口ボーナス期は2040年ごろまで続くだろうと予測されており、政府は経済成長とともに労働者
の質や能力をいかに向上させるかを重視しています。

対して、日本の人口ピラミッドとしては、平均年齢は世界で最も高い約46歳で、人口ピラミッドは高齢者の人口が多く、子供が少ない
ことを示す「つぼ型」となっています。将来的に少子高齢化がますます進行すれば、「逆富士山型」に移行することも考えられます。
2022年時点での生産年齢人口の割合は約59%で、比較可能な1950年以降過去最低を記録しています。日本は1990年代から、人口ボーナ
ス期の対義語に当たる人口オーナス期にあり、人口に占める労働人口の割合が低下傾向にあります。

図:総務省統計局「人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)」を元に弊社作成
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2021np/index.html (最終アクセス 2023/09/13)

ここまでご紹介したように若者が多く活気にあふれているインドネシアですが、人口に雇用が追いつかず若者の失業が深刻化するなど、
急激な人口増は弊害も引き起こしています。そこで、豊富な労働力を活用し経済成長につなげることを目指し、政府は「GOLD INDONESIA
2045」(Visi Indonesia Emas 2045)という目標を掲げています。

2045年は、1945年のインドネシア独立宣言からちょうど100年に当たります。
GOLD INDONESIA 2045とは、人口ボーナス期が続くのが2040年頃までであることを踏まえ、2045年までに人口ボーナス期を最大限活用し
て十分な雇用の創出と質の向上、社会インフラを向上させるという政府のビジョンのことです。インドネシア国家開発企画庁(BAPPENAS)
は、ビジョンの4本柱として以下を挙げています。

①人の開発と技術の習得
:教育レベルの向上と科学技術の発展を通じた国民の生活の質の向上

②持続可能な経済発展
:投資と貿易の拡大、産業と観光の加速、海洋経済の発展、食料安全保障の強化と農民の生活の改善、エネルギー安全保障、環境への取組みなど

③公平な発展
:貧困緩和、機会の平等、所得の公正な分配、地域格差の緩和、インフラ開発など

④国土強靭化とガバナンス強化
:民主主義体制の強化、制度改革、官僚改革、法整備と腐敗の打破、自由で積極的な外交政策、レジリエンスと安全保障の強化など

これからインドネシアではますます若い労働力が増える見込みですが、一方の日本は、さらに人口縮小が進み労働力不足が深刻化すると
考えられます。そこで重要になってくるのが、インドネシア人材の日本での就労です。
厚生労働省の発表によれば、2022年10月末現在、日本では7万7889人のインドネシア人が働いているとされており、日本の社会に欠かせ
ない存在となりつつあります。さらに、2022年のインドネシア人労働者数は前年同期比で47.5%増となっており、国別の伸び率では最も
高くなっています。彼らの多くは20~30代の若者で、高校や職業専門学校を出たのち、技能実習生や特定技能人材として、日本で製造業や
介護、農業などに従事して働いているケースが一般的です。

インドネシアでは、日本車や日本製品が流通していたり、幼いころからアニメ、漫画などの日本文化に親しんでいたりすることもあり、
日本への関心や憧れを持つ若者が多く存在します。
インドネシア国内の雇用が未だ不足しており平均賃金も低いことから、日本で働くという選択肢、彼らにとっても非常に魅力的であるよ
うです。インドネシア人の人材は総じて日本語学習にも積極的で、雇用後も真面目に働くため、近年インドネシア人材の雇用を検討され
る日本企業も増えています。

一方で、日本に来て働きたいインドネシア人を狙った悪質なブローカーも増加しており、十分な日本語能力が無いまま渡航させたり、無
賃労働や長時間労働に従事させたりするケースも報告されています。また、インドネシアと日本では、職場の雰囲気や職業倫理、時間の
管理などの前提とする文化が異なり、それが原因でトラブルになることもあります。

人材を通したインドネシアと日本の結びつきはこれからますます重要になってくるからこそ、言語、文化どちらも十分に教育を行った上
で雇用することが不可欠になってくるでしょう。事業を一緒に行っているインドネシア総合研究所では、ジャワ島西部の都市バンドゥン
をベースに特定技能人材・技能実習生の送り出し機関を運営しており、日本側でインドネシア人材を受け入れたい企業の現地収益事業と
しても展開しております。

ちなみにこの日本語学校事業は3~4年で回収となります。
優秀な人材の先行採用と、現地通貨であるインドネシアルピアでの収益化を兼ねることができるのでリスク分散型の事業としても注目を
集めています。この学校事業にご興味ある方はJACK佐々木までお気軽にご連絡ください。


 

■「Unique Asset Management -独自の資産形成-」


今回は、クロスボーダー(国境分散)にも関連するビザについて深掘りしたいと思います。

インドネシア法務・人権省入国管理局は、去る9月2日、外国人投資家向けの長期査証、通称『ゴールデンビザ』の提供を開始したと発表
しました。ゴールデンビザの導入は、インドネシアにおける新型コロナウイルス感染症によるパンデミック収束後のインドネシア経済成
長の促進、投資誘致、高度人材の誘致を目的としています。発表に先立ち、ゴールデンビザと滞在許可に関する法務・人権大臣規定「20
23年第22号 」が8月24日付、ゴールデンビザのための税外収入に関する財務大臣規定「2023年第82号」が8月30日付で、それぞれ施行さ
れました。今回は、ゴールデンビザの概要や条件について、詳しくご紹介いたします。

インドネシアで新たに導入された『ゴールデンビザ』は、最長10年間と通常のビザよりも長い有効期限を持ち、一時滞在許可証(ITAS)
申請が不要になるなど、出入国の簡易化が可能となる点が特徴です。高度な技術や経験を持つ高度外国人材を誘致し、インドネシア経
済の成長と発展を促進することを狙いとしています。ゴールデンビザは、大手企業、投資家、国際的に活躍する著名人などを対象とし
ています。同様のビザプログラムは、他の国々でも起業家や資本を誘致するために導入されており、国際的な競争力の向上を目指して
います。

このゴールデンビザの取得条件は、以下の3つのケースに分かれて定められています。いずれも高い条件が設定されており、経済発展に
寄与できる人物の誘致というインドネシア政府の目的が伺えます。

①インドネシア法人を設立しない個人投資家の場合

◇有効期限5年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額350万米ドル(約538億ルピア/約5億円)
・インドネシア国債購入、上場企業の株式購入、またはインドネシアの預金に充てる

◇有効期限10年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額700万米ドル(約1076億ルピア/約10億円)
・インドネシア国債購入、上場企業の株式購入、またはインドネシアの預金に充てる

②インドネシア法人を設立する個人投資家の場合

◇有効期限5年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額250万米ドル(約384億ルピア/約3.7億円)

◇有効期限10年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額500万米ドル(約769億ルピア/約7.4億円)

③インドネシア法人を設立する機関投資家の場合

◇有効期限5年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額2500万米ドル(約3845億ルピア/約36.9億円)

◇有効期限10年間のゴールデン・ビザ
・最低投資額5,000万米ドル(約7691億ルピア/約73.9億円)

ゴールデンビザの取得条件は、個人か法人か、インドネシア法人を設立するかしないかで異なります。
①と②を比較すると、個人投資家の場合はインドネシアに法人を設立した場合の方が、ゴールデンビザ付与の条件が比較的低くなる
ことがわかります。また、③の機関投資家(保険会社や投資信託会社等の、顧客から拠出された資金を運用管理する法人投資家の総称)
の場合は、法人の取締役および監査役がビザ付与の対象となります。またインドネシア法務・人権省入国管理局は、一定額以上の投資
を行う投資家のほかにも、「インドネシア中央政府の推薦を受け、国際的な名声をもち、インドネシアに恩恵をもたらすことができる
人物なども発給対象者になる」との声明も出しています。

しかし、現時点では申請方法や詳細の規定などは未だ不明瞭であり、申請開始については未定となっているようです。

参考:
https://databoks.katadata.co.id/datapublish/2023/09/04/wna-bisa-dapat-golden-visa-minimal-investasi-rp53-miliar

まだ導入が開始されたばかりのインドネシアのゴールデンビザですが、その受給者第一号となったのは、世界的に有名なAIチャット
ツール『ChatGPT』の生みの親である米OpenAI社最高責任者、Samuel H. Altman(サム・アルトマン)氏でした。ChatGPTは、インドネ
シアで今最も多く利用されているAIツールでもあります。インドネシア政府は、アルトマン氏へのゴールデンビザ発給により、同氏が
インドネシアでのAI活用の更なる発展に貢献することを期待しています。イ

今回は、インドネシアで新たに発給が開始され注目が集まっている『ゴールデンビザ』についてご紹介いたしました。
ゴールデンビザは、一般的なビザとは異なり、財政界の有力者や、公衆人物、巨額投資家、大手企業を対象としたビザです。インドネ
シアでは、インドネシア政府は経済強化のため、ゴールデンビザのほかにも多種多様なビザを以て経済力のある外国人の誘致を積極的
に推進しています。

昨年には、外国人富裕層を対象とし最大10年間の滞在を認める『セカンドホームビザ』の発給が開始されました。また、デジタルノマ
ド(ITを活用し国内外を旅しながら働く人々)は、『シングルビザ(B211ビザ)』を取得することで最大6ヶ月までインドネシアに滞在
することも可能です。これらのビザを活用してインドネシアへ移住や長期滞在をする外国人の増加は、バリ島などを中心に、インドネ
シアの観光産業の活性化にも繋がっています。

個人的な観点からすると、銀行口座や証券口座を開設する際や、自動車免許取得には、インドネシア人に準ずる資格を得る必要があり、
これらのビザを持っていると非常に有利になります。目的が明確な方は取得を目指されると色々と使えると思います。



 

■「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」


インドネシアでの事業を拡大する際には現地の最新のトレンドや現地の人々の生の声、専門家らの意見の聞き取りなど多角的な視点から
の調査が不可欠となります。

インドネシア総研では、インドネシアにおける数々の市場調査を受託し、インドネシアならではの事情を深く細部まで調査し、数々の日
本の事業者をサポートしてきました。。とりわけ弊社の強みと言えるのが、インドネシアのジャカルタに現地法人を持ち、現地の事情に
精通した調査チームによる多種多様な調査が可能であることです。

ここで、CLTとは、Central Location Testの略語で、会場調査、会場集合調査とも呼ばれます。定量調査の代表的な手法の一つで、会場
に調査対象者に集まってもらい実施する調査です。

インドネシアに販路を拡大するにあたって現地の消費者の商品に対する反応や嗜好を調査する場合や、現在販売中の製品、あるいは新製品
についての意見を聞く場合など、様々な目的でご依頼をいただいております。インドネシアでは、郵送調査やメールなどでの調査だとなか
なか回答が得られない場合もあり、会場で直接モニターから調査が可能なCLTのような手法を活用した調査は効果的だと言えるでしょう。

<調査の流れ>

①ご依頼

②調査内容の打ち合わせ
現地調査チームも交えて調査内容、目的などのすり合わせを行います。インドネシアの現地調査会社の多くがあらかじめ調査方法や提供で
きるサービスをプラン化して固定していることが多いのに対し、インドネシア総研ではお客様のご要望に応じて様々な手法を組み合わせた
りしながらベストなご提案が可能です。定量調査と定性調査を組み合わせて同時に調査を行うなども可能です。
また、近年変わりつつあるものの、インドネシアではプロジェクトの途中経過を報告するといったビジネス慣習が根付いておらず、締切に
間に合わせればよい、という風潮が未だに残っていることも少なくありません。インドネシア総研では、現地調査チームによる定期的な報
告に加え日本人社員が常にサポートで入っており、スムーズな調査実施と情報共有が可能です。

③(CLT調査の場合)現地調査チームがモニターのプレリクルートを実施
一つ一つの質問文を丁寧に確認する日本人とは異なり、インドネシアでは、調査の際にあまり時間をかけずにさっと回答されてしまい、前
後の質問内容への回答が矛盾していたり、本来選ぶべき選択肢とは違うものが選ばれていたりといった正確性に欠けるデータを集めること
となってしまいます。

④インドネシア総研では、プレリクルートを行い、対象者条件に適切に合致するモニターを厳選して調査を実施しているため、正確なデー
タの収集が可能です。
また、インドネシア総研では、SNSを活用したモニター募集から選抜まで一貫して現地調査チームで担当可能です。インドネシア総研の調査
チームは、短期間で大人数のモニターのリクルートを可能にするノウハウを持っており、迅速な調査の実施が可能です。過去には1週間で10
0名規模のモニターをリクルートし、CLT調査を実施した実績もございます。実地での調査実施
会場は様々ですが、展示会などの大規模イベントに合わせて調査を実施することも可能です。インドネシア総研では、主に調査員が質問文
を読み上げながら回答を確認する手法をとっております。そのような手法をとることで、質問文の意味を理解してもらえない時にも調査員
がより詳しく説明するというフォローが可能になり、より正確なデータを収集することが可能となります。
また、インドネシア人からなる現地調査チームが調査を行うことには、より正直な回答を得られやすいというメリットもあります。日本人
が複数名いると気構えてしまう可能性が高く、意識した回答をされてしまうというケースもございます。インドネシア総研では、調査を実
施している部屋では全ての会話をインドネシア語で行い、マジックミラーの外側では通訳が会話内容を日本語に通訳する、というような工
夫も可能です。

⑤調査報告のご提出
現地調査チームのまとめた報告書を、日本語もしくは英語でお渡ししております。インドネシア総研では翻訳や通訳サービスも提供してお
りますので、専門性の高い資料でも質の高い翻訳が可能です。

今回の記事では、一緒に事業を行っているインドネシア総研が提供するCLT調査の流れと強みについてお伝えしました。
定量的な調査のみならず、現地の消費者の生の声を反映した定性的な市場調査も行っています。また、インドネシア語での情報収集のノウ
ハウを生かしたデスクリサーチや、アポイントのためには現地でのネットワークが必要になるインドネシアの政府関係者や大学教授などへ
のインタビューなども実施可能です。

エコノミックからアカデミックまで、インドネシアでの展開をお考えならまずは手ごろな市場調査やマーケティングをおススメします。