本メルマガは、週1回程度を目安に以下の3つのパートから情報をお送りさせていただく内容となっております。

  • 「Paradigm Shift -新しい価値観-」
  • 「Unique Asset Management -独自の資産形成-」
  • 「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」
 

■Paradigm Shift -新しい価値観-


海外滞在22日目の今日はPhilippinesからIndonesiaに移動して、今はJakartaに滞在中です。
今回はPhilippinesでのあたらしい展開から、今のPhilippinesを取り巻くリアルな状況をお伝えしたいと思います。

Philippinesでは、the Pambansang Pabahay para sa Pilipino Housing(パンバンサン・パバハイ・パラ・サ・
フィリピン住宅)と呼ばれる4PHプログラムなるものが時限的に動いています。

https://pia.gov.ph/news/2023/04/03/4ph-program-to-boost-the-countrys-sustainable-development-goalsdg

Philippinesでも最も歴史のある行政が集積しているケソン市では、社会・都市開発分野における主要な変革戦略の
一つとして、「空間の統合利用により人々が訪れるよう人間の居住地をアップグレードし計画することにより、
住みやすいコミュニティを確立する」としています。
仕事、レクリエーション、交通機関の選択肢が近くにあります。」これは、都市と人間の居住地を包摂的で安全、
強靱で持続可能なものにするという国連の持続可能な開発目標 11 に対する国のコミットメントに基づいています。

そこで、フィリピン国民の住宅ニーズに応えるため、フェルディナンド・R・マルコス・ジュニア大統領は人間居住
・都市開発省(DHSUD)を通じて、4PHプログラムを策定しました。

DHSUD長官のホセ・リザリノ・アクザール氏は声明の中で、フィリピン開発計画(PDP)2023~2028年で目標とされてい
る、特に経済成長率の維持とより回復力のある雇用の創出に関する4PHプログラムの関連性について説明しています。

「私たちは年間100万戸の住宅を建設し供給するという使命を追求する一方で、住宅コミュニティにおけるすべての要
素と関係者の持続可能な共存を確実にするタウンシップ開発も支持しています」とアクザール氏は述べた。

これに合わせて、4PH プログラムは、土地資源、特に空き地、遊休地、荒廃し、十分に活用されていない政府および
私有地を住宅や複合用途の開発に最大限に活用するための革新的な戦略を追求しています。
さらに、垂直型住宅を優先し、タウンシップ開発モデルを採用することで、特に高度に都市化した都市や構成都市に
おいて、土地利用を最適化することを目標としています。

地方住宅委員会の統計によると、国内には約370万人の非公式入植者家族 (ISF)がおり、そのうち50万人がマニラ首都
圏に住んでいる。彼らは劣悪な環境で暮らしており、とりわけ、地役権内、鉄道、水路、エステロのそばなど、荒廃
した地域を占拠しています。これは彼らの健康に深刻なリスクをもたらし、危険や自然災害にさらされます。

したがって、4PH プログラムは、対象受益者の生計源に近い低層、中層、高層のプロジェクトの開発に焦点を当てて
います。疑いもなく、これらの地域のほとんどは、非公式入植者家族 (ISF) が永続的に繁栄している大都市または
都市部の中心部にあります。

一方、タウンシップ開発に関する 4PH のコンセプトは、徒歩圏内または公共交通機関への容易なアクセス内に住宅、
商業、レジャースペースの量を最大化するという、まさに交通指向の開発の定義に基づいています。
4PH が開始した最近のプロジェクトでは、対象受益者間の経済的および社会的活動を促進するためのアメニティとイ
ンフラを備えた住宅コミュニティを特徴としています。学校、生計センター、行政事務所、中央公園、バスケットボー
ルコート、ミニマーケットと行商エリア、アクアフォニックスエリア、下水処理場、資材回収施設などの施設やアメ
ニティも、タウンシップ開発の基本計画に組み込まれています。

これが、the Pambansang Pabahay para sa Pilipino Housing(パンバンサン・パバハイ・パラ・サ・フィリピン住宅)
と呼ばれる4PHプログラムの基本構想になっています。

一方で、私がPhilippinesに行き始めたのは2006年。当初は日本人向けのリタイヤメントヴィレッジを創っていました。
物件自体は完成し、いよいよという時に関連事業で行っていたプロジェクトに詐欺が発覚し、最終的には事業全体を
手放すことになりました。これが2012年ごろの話です。このお話はまた次の機会に。

そして再度Philippinesに行き始めたのが2015年。2016年から現地法人を設立し、不動産の用地販売を行うための用地
仕入れなどを行ってきました。そしてコロナ禍を経験し、この2023年。
傍らでPhilippines不動産の発展を伺いながら、貧困層の状況も認識し、ドゥテルテ政権からボンボン・マルコス政権
へと変わり、Philippinesの抱える根本的な課題解決に着手することになりました。

元々、我々が仕込んできた土地は、現地デベロッパーはじめ、自社開発会社や外資とのジョイントベンチャー開発会社
などへの売却で動いてきましたが、コロナ禍でその動きが一旦鈍化し、購入意向なども入るものの最終的な条件があわ
ず決め手に欠けることも多々ありました。
2023年に入ってからは、買い手の動きも活発になってきているところに、上記の4PHプログラムなども連動してくる流れ
となりました。実は元々、土地があるので小さいながらも自社でデベロップメントができれば面白いと思っていたので
すが、日本にてコンテナハウス事業ともご縁ができたことで、Philippinesでのcontainer型ハウジングによる自社デベ
ロップメントの事業化が現実的になりました。

今回の渡航では、AAAのレイティングをもつconstruction会社とのジョイントパートナー契約を締結することができ、
containerユニットによるビル建設やアパートメント、戸建の建設も可能になりました。
こうなると自前の土地を持っていることがかなり有利に展開されることになります。

国や行政が目指す住宅はじめ街づくりへの参画はもちろんのこと、特定マーケットをにらんでの各種デベロッピング事
業も可能になります。特に後者は、Philippinesでのデベロッピングに興味のある事業者を受け入れることも可能になり
ます。
我々のジョイントパートナーは、戸建、ビル、アパート、店舗、モールなどの商業施設の実績もあるので、40年~50年
前の日本での団地のような街づくりなどを行いたいと考える不動産会社や開発会社などど連携することは可能です。
では、実際の販売についてはどうするかということですが、すでにメンバーを抱える金融ローン会社との提携や、不動
産ブローカーのネットワークもありますし、一般のマーケティングであれば、Philippinesでの有名インフルエンサーと
の連携もあるので、ローカルの賃貸マーケットの獲得まで視野に入れることが可能です。
もっとも強いのは自前の土地がすでにあるということです。

今まで、あまりこれらPhilippinesでのビジネス情報を開示してくることはありませんでしたが、自前の強みの強化と、
適材適所なパートナーとの連携、登場人物も固まってきたことで自信をもって誘致できる環境が整ってきました。
不動産分野で積極的に展開を考えたい企業や法人がお見えでしたら是非お声がけ下さい。

Philippines不動産事業お問い合わせは↓コチラ

https://forms.gle/RtBQL7iXK8kCLDR79

 

■「Unique Asset Management -独自の資産形成-」


そして、今回のPhilippines滞在では、あのMindanao島にも行ってまいりました。
今回の10月23日、24日で視察ツアーを開催したわけですが、何の視察かと言いますと、
①500M以上ある太陽光発電事業と
②SMARTCITY構築のための都市連携というものでした。

前者①は非常にわかりやすい、みなさんご存知の太陽光発電事業です。そして後者②はというと、ミンダナオ島サランガニ
州マラパタン自治体 + MASA TECH CONSTRUCTION AND DEVELOPMENT CORPORATION + MALAPATAN MULTI-PURPOSE COOPERATIVE
「共同体PPP」による大型自然再生エネルギー発電所の建設とその利益による持続的なスマートシティ構築となります。

この構想を要約すると、
1、マラパタン自治体の脱炭素宣言を日本の最先端技術で後押しする。
2、10Mwの水素発電所と20Mwのバイオマス発電施設による年間95,544tのCo2削減、及びバイオ燃料プラント施設と荒廃地
を利用したバナグラスの生産によるCo2削減。
3、水素発電とバイオマス発電による売電収益、年間約1.5Billionペソの予算でマイクログリッド、水素社会インフラ整備
医療、病院、学校、上下水道整備、ごみ処理場建設などのインフラ整備を20年をかけて行い、25年間持続的に維持更新を行う。
4、この事によりフィリピンで最初の都市単位でのカーボンフリーを実現します。同時に行われる環境に徹底的に配慮した
インフラ整備は、住民の生活環境改善、貧困対策、海洋プラスチック問題等の根本的解決を行い、併せて3000人の雇用を生
み出します。

となります。実際に後者事業ではマラパタン市の市長と協定調印を締結し、今回は日本の福岡県に存在する企業を中心とし
た技術移植を行っていくことがほぼほぼ決定しています。

そちらの視察ツアーのダイジェスト映像となります。
https://drive.google.com/file/d/1CSkPOy90qk-K5ItM5X4XxqEMP1we3wzd/view?usp=sharing

②のSMARTCITY構築についてはおいおい改めてレポートしていきたいと思います。
①の太陽光発電事業については、まずは5MWの太陽光事業を行っていくわけですが、今回はそのプロジェクトをもう少し噛み
砕いてご案内したいと思います。

このプロジェクトは、フィリピン政府が推進する再生可能エネルギー政策に沿って、ジェネラル・サントス市にて5MWの太陽
光発電システムを建設し、電力を供給するものです。また、日本政府が実施するJCM制度によって、温室効果ガスの削減量が
認定され、JCMクレジット※を取得できます。

このプロジェクトには、高い収益性と社会的貢献性があります。
このプロジェクトの事業主体は、日本の事業会社とPhilippinesの事業会社によるJV事業で、私の立ち位置としては事業全体の
座組の設計と、現地側の会社の株主です。

※(JCM:Joint Crediting Mechanism; )は、二国間クレジット制度のことで、途上国等への優れた脱炭素技術等の普及や対策
実施を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への日本の貢献を定量的に評価するとともに、我が国のNDCの達成に活用す
る制度です。詳しくはメルマガバックナンバーのvol174、 vol175でのシリーズをご覧ください。

JCM制度は日本政府が2030年までに温室効果ガスの削減目標を達成するために導入したものであり、今後も継続されると見込まれ
ています。このプロジェクトはJCM制度の下で温室効果ガスの削減量を認定され、JCMクレジットを取得し、売却することで収入
を得ることができます。

本事業は30%はプロジェクト主体側で出資し、残り70%を事業投資される投資家に参加いただけるプランとしています。
これによるPhilippinesPesoによる外貨収益が獲得頂ける形となります。

施設規模: 5MW
この施設は5メガワットのグリーンエネルギーを生成し、ゼネラルサントスの家庭や企業に電力を供給します

設置場所: General Santos
バランガイ マブーハイというエリアで、太陽光発電に最適な立地で、1日平均7.5時間の日照時間があります。

総設備投資費: 8億円
プロジェクトに必要なトータルコスト土地の取得代、許認可取得費、設備費など建設に掛かるすべての費用です。

売電価格: 15.5円/Kw
電力固定買取額。現地非営利電力協同組合SOCOTECO Ⅱが再生可能エネルギー法に基づき25年間固定額で買取します。
※2023年8月1日為替

投資家参加可能額: 6億2千万円
総設備投資額の70%。残りの30%はプロジェクト主体側または日本政府環境省のJCM補助金により賄われます。

投資家シェア分:70%
設備の売電収入の70%が投資家様のシェアになります。

以下からわかるように、このプロジェクトは、投資額に対して高い収益性を示します。IRRは22.7%と非常に高く、投資回収期間は
も4.4年と短いです。また、累積キャッシュフローは3,532百万円と大きな利益を生み出します。

●事業収支概要
投資額 :620,000,000
売電収入 :157,000,000
運転費用 :15,700,000
累積キャッシュフロー :3,532,000,000
内部収益率(IRR) :22.7%
投資回収期間 :4.4年

もちろんこのプロジェクトには、リスクも考えられます。
リスク1:天候不順や自然災害による発電量の減少や設備の損傷
対策1:発電量の予測や保険契約を行う
対策2:設備の定期点検やメンテナンスを行う
対策3:災害時に迅速に復旧作業を行う

リスク2:フィリピン政府や現地関係者とのトラブルや紛争
対策1:契約内容や法令遵守を確認し、書面で記録する
対策2:現地パートナーと連携し、コミュニケーションや協力を行う
対策3:必要に応じて弁護士や仲裁機関に相談する

将来性としては、フィリピンの電力需要は今後も増加すると予測されており、太陽光発電は再生可能エネルギーとして注目されてい
ます。このプロジェクトはフィリピンの電力供給に貢献し、市場拡大の可能性があります。現に5MWにとどまらず、現状では540MW
程度までのプロジェクトが見込めております。

日本とフィリピンは歴史的にも経済的にも深い関係にあります。このプロジェクトは両国の技術協力と経済交流を促進し、相互理解
と信頼を深めるものとなるはずです。また、フィリピンの電力事業を通して、地域動向や市場動向に関する知見を得ることで、他の
ビジネスチャンスを探ることができるのもこの事業に参加するベネフィットになるかと思います。

こちらの太陽光事業にご興味のある方は↓こちらまでご連絡ください。

https://forms.gle/MvJvqedBzWbxHViz8

 

■「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」


引き続きフィリピン経済に影響を与えるスペイン系財閥と中華系財閥についてをお送りいたします。
前回のアヤラ財閥につづきまして財閥を紹介いたします。

スペイン財閥「ソリアノ財閥」

フィリピンに旅行、ビジネスで渡航したことがある人なら目にしていると思われる、フィリピンの代表的なビール
「サン・ミゲル」がありますが、そのサン・ミゲルビールを総合食品メーカーに育て上げたのが、今回紹介するソリ
アノ財閥です。
ソリアノ財閥は、1941年2月26日に「フィリピン航空」を創業しました。
しかし、第二次世界大戦で大きな打撃を受けました。
戦後復興の時期になると、マッカーサーの側近だったソリアノ1世が活躍しました。
結果、フィリピン政府からもアメリカ政府からも良い待遇を受けました。

・フィリピンビール市場の90%以上のシェアを独占
・現在はコファンコ財閥の所有

当時のサン・ミゲルビールの傘下には、銅鉱山・製紙・肥料・銅線を扱う20以上の企業があります。

 

スペイン財閥「ロペス財閥」

ロペス財閥の持つパワーは強力です。
ロペス財閥に逆らってフィリピンで経済活動を行うことは不可能だとされています。
例えば、「フィリピンメディアを事実上牛耳っている」と見て取れます。
ロペス財閥所有のフィリピンメディア

・フィリピン最大のテレビ放送局ABS-CBN
・ケーブルテレビのスカイ・ビジョン
・通信会社のバヤン・テレコミニュケーションズ
・その他、ラジオ局や新聞社、出版社を持つ

実は、ロペス財閥の事業はメディアだけに留まりません。

通信・電力・水道・高速道路などのインフラを一様に担っています。

スペイン財閥「アラネタ財閥」

ネグロスに広大な砂糖プラネーションを所有します。が、1980年代砂糖不況の時期にその事業は縮小しました。

現在は、不動産事業がメインです。
医薬品の分野では武田薬品と提携関係にあります。

スペイン財閥「ツアソン財閥」

バナナ農園の経営で有名です。
ミンダナオに広大なプランテーションを有します。
日本向けにバナナ輸出の先陣を切った一家です。

海運業からスタート

ツアソン財閥はミンダナオでの海運業からスタートしました。
持ち株会社の下に開運・貿易・不動産・銀行などの数多くの企業を所有しています。
1980年には花王と合弁でココナッツ油誘導品と化粧品の生産を行うようになりました。

スペイン財閥「オルティガス財閥」

オルティガス地区を所有します。
アヤラ家、アラネタ家、ツアソン家と並び、「サン・フアン - マンダルヨンエリア」に広大な土地を所有していま
す。
この地域の土地開発と、分譲によって得た巨額の資金を株式投資や企業買収に充てました。
事業主体は不動産関連です。

次回は、主に戦後に勃興してきた中華系財閥についてご紹介いたします。

つづく 西島筆