本メルマガは、週1回程度を目安に以下の3つのパートから情報をお送りさせていただく内容となっております。

  • 「Paradigm Shift -新しい価値観-」
  • 「Unique Asset Management -独自の資産形成-」
  • 「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」
 

■Paradigm Shift -新しい価値観-


インドネシアの金利が大方の予想を覆し、6%に引き上げられた。
インドネシア中央銀行総裁は、「今回の利上げには国際的な不透明感増大の影響に対し、ルピアの安定化措置を強化する
狙いがある。輸入物価を通じたインフレの影響を緩和する予防的・前向きな措置だ」としています。

ということで、Indonesiaの銀行について少し見ていきたいと思います。日系の金融機関も積極的に進出していることも
分かると思いますので、その歴史と今をご紹介します。

◇新規参入と淘汰の歴史
1988年、インドネシア政府は、競争環境の整備による効率的な資金配分の実現を目指す金融改革を実施した。
この規制緩和により、1968年以降厳しく規制されていた銀行の新設が解禁され、1989 年初めに 106 行だった銀行数は、
アジア通貨危機前の 1997年 7月には 237 行に急増した。なお、銀行数が最大であったのは 1995 年 10 月の 241 行
である。しかし、競争の激化による収益性の低下とアジア通貨危機により多くの銀行で不良債権が急増したため、政府は
IMF の支援を受けて金融制度改革を進めた。具体的には 1998 年 1 月に「金融制度再建プログラム」を発表し、金融機
関の再編(経営不振銀行の監視と資産管理を担当)を推進するインドネシア銀行再建庁(IBRA)を設立した。

この IBRA は、監視下に置いた 54 行の営業停止・合併(1998 年 8 月)を断行し、民間銀行への公的資金の注入(1999
年3月)などの措置を講じ、2000 年 10 月には資本注入を完了した。なお、IBRA は 2004年2月に解散し、接収した資産は
新設される譲渡専門機関に移管された。また IBRA解散時のインドネシアの銀行数は 138 行と、アジア通貨危機前に比べ
てほぼ 100 行減少した。

◇最近のインドネシア銀行業界の再編
近年は、邦銀が絡む銀行部門の合併・買収などもあり、銀行業界の淘汰・再編が進んでいる。
2018年 8月には、三井住友銀行が、同行子会社のインドネシア三井住友銀行と、40%を出資している地場商業銀行バンク・
タブンガン・ペンシウナン・ナショナル(PT Bank Tabungan Pensiunan Nasional Tbk:BTPN)との合併計画を発表し、
翌 2019年 2月に BTPN を存続会社として合併した(PT Bank BTPN Tbk)。
三井住友銀行の持株比率は合併当初は 97.34%だったが、2022年 3月時点では 93.49%となっている。

また、三菱 UFJ 銀行は、2019年 1月、同行が 40%分の株式を保有するバンクダナモン(PT BankDanamon Indonesia, Tbk)
と、三菱 UFJ フィナンシャル・グループ傘下のアコムが 67.59%分の株式を保有するバンク・ヌサンタラ・パラヒャガン
(PT. Bank Nusantara Parahyangan:BNP)との合併計画を発表し、同年 5 月にバンクダナモンを存続会社として合併した。
2022年 3月時点三菱UFJ 銀行の持株比率は 92.47%となっている。
2018年 10月、りそな銀行は、2018 年 10 月、インドネシア子会社りそなプルダニア銀行(PT Bank Resona Perdania)の
株主として、横浜銀行と大同生命を加え、りそなプルダニア銀行の株主構成は、りそな銀行が 48.44%、横浜銀行が 30.00
%、大同生命が 14.90%となったことを発表した

◇総資産ランキングと邦銀の位置付け
2019 年 8 月時点の商業銀行の総資産や貸出残高を比較すると、以下の国営銀行 4 行の総資産 がいずれも上位にあり、国営
銀行の存在感は大きくなっています。

1 位、PT. Bank Rakyat Indonesia Persero(BRI)
2 位、PT. Bank Mandiri Persero
4 位、PT. Bank Negara Indonesia Persero Tbk (BNI)
5 位、PT. Bank Tabungan Negara Persero (BTN)

また、2019 年に MUFG フィナンシャル・グループが地場2行を合併させたバンクダナモンが第10 位(179 兆ルピア)ランクさ
れており、邦銀では、三菱 UFJ 銀行(外国銀行支店)の総資産が166 兆ルピアと地場上位行に続き、みずほ銀行(合弁銀行)
が 55 兆ルピア、りそな銀行(合弁銀行)が 15 兆ルピアとなっている。なお、第 7 位にランクされている Bank Syariah
Indonesia は、2021 年 2 月、Bank Syariah Mandiri、BNI Syariah、BRI Syariah の 3 つの銀行の統合により誕生した新し
いシャリーア銀行(イスラム銀行)である。

(引用:国際協力銀行より)

我々のIndonesia進出の支援を行っているRFIでは、民間銀行最大であるPT Bank Central Asia Tbk (BCA)とBank Syariah
Mandiri、BNI Syariah、BRI Syariah の 3 つの銀行の統合により誕生したシャリーア銀行(イスラム銀行)とのパイプを有し
抵当物件などの調達なども可能になっています。
これらの情報などは勉強会などを通じてIndonesiaマーケットに興味のある方々に提供していきたいと思います。


 

■「Unique Asset Management -独自の資産形成-」


インドネシアの資本市場の設立は古く、1912 年に同国最初の証券取引所(The Batavia StockExchange)がオランダ・東インド
会社(The Dutch East Indies)によって設立された。この証券取引所は第一次世界大戦の影響で閉鎖され、同戦争終了後に一時
再開されるが、第二次世界大戦によって再び閉鎖された。
第二次世界大戦後、1952 年に再び証券取引所が復活するが、当時の取引は株式の売買は活性化せず、インドネシア国債のみの売
買に留まり、1988 年時点においても上場企業は 24 社に留まっていた。

1988年の銀行部門や資本市場の規制緩和を契機に外国人投資家の関心が高まる中、インドネシアの上場企業数も1989年末には56社、
翌90年末には 122社へと増加に転じた。上場企業数が増加する一方、国内の証券取引所の統合も進み、1995年には Indonesia Par
ael Bourse がスラバヤ証券取引所に合併され、そのスラバヤ証券取引所も 2007 年にはジャカルタ証券取引所に合併され、合併
後の取引所名はインドネシア証券取引所に改められた。

インドネシア証券取引所には株式、債券、株価指数先物、オプションなどが上場し、取引されている。上場会社に民営化した国営
企業が多いことや、時価総額や取引において上位銘柄への集中度が高い点がインドネシアの株式市場の特徴となっている。

従来、インドネシアでは少数のファミリーが上場企業の株式を集中して保有していることから、海外投資家などより、ガバナンス
面で透明性が低く、ディスクロージャーや少数株主保護が不十分であるとの指摘がされていた。このため、監督官庁 OJK(インド
ネシア金融庁)やインドネシア証券取引所は、これらの解決を最優先の課題として取り組んでいる。

2022 年 9 月末時点、時価総額が最も大きい企業は、民間商業銀行最大手のバンク・セントラル・アジアで、時価総額は 890 兆ル
ピアとなっている。また、国営銀行のバンク・ラヤット・インドネシア(616 兆ルピア)やバンク・マンディリ(324 兆ルピア)
が時価総額の上位に入るなど、全般的に銀行の時価総額比率は高い。

また、時価総額上位銘柄には、外資系企業が多い点も特徴的である。時価総額第 7 位のユニリーバ・インドネシア(156 兆ルピア)
は欧州のパーソナルケア大手であるユニリーバ、第 10 位のタバコのハンジャヤ・マンダラ・サンプルナは米フィリップモリスの
インドネシア子会社である。

    会社名              産業分類   時価総額(兆ルピア)
1 バンク・セントラル・アジア       銀行 890
2 バンク・ラヤット・インドネシア     銀行 616
3 テレコムニカシ・インドネシア      情報・通信 400
4 バンク・マンディリ           銀行 324
5 バンク・ジャゴ             銀行 219
6 チャンドラ・アスリ・ペトロケミカル   化学 158
7 ユニリーバ・インドネシア        化学 156
8 エラン・マコタ・テクノロジ       情報・通信 139
9 バンクネガラインドネシア(ペルセロ)  銀行 124
10 ハンジャヤ・マンダラ・サンプルナ    タバコ 112

ちなみにインドネシアの上場企業数は、2022年9月10日現在、810社となっています。 2022年は1月から9月10日現在で44社が新規上場
しています。

インドネシアの証券口座開設も面白いですね。
通貨分散・ポートフォリオ分散を考えている方には中長期で保有するものとしてもアリだと思います。
現地でのビザを取得していないと開けないのですが、ビザ取得のサポートもしているので、気になられた方はお気軽にご相談ください。


 

■「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」


インドネシアの銀行や株式など金融部分に触れてきましたので、もう少し銀行の分類なども掘り下げて情報をお伝えしたいと思います。

◇国営銀行
国営銀行は、1968年特別法に基づき政策金融機関として特定産業向け金融を担っていた。
しかし、その後、業務としての実態は通常の商業銀行と差がなくなり、1992年の新銀行法により各設置法が廃止され、現在は通常の銀行
と同じ業務を行っている。現存する 4行については、業務効率化と国際競争力向上の観点から、同一の持株会社への移管を通じた統合が
検討されている。2022年 7月時点の支店数は 13,212店と、インドネシア全体の 5 割以上を占めている。

◇民間商業銀行
民間商業銀行は、1988年 10月の金融規制緩和以降、63行から 166行へと大幅に増加したが、アジア通貨危機後の IBRA主導による再編・
淘汰で 2005年には 70行へと大幅減少した。民間商業銀行は、有力企業グループの経理機能から発展したものが多く、一部を除けば小規
模な銀行が多い。なお、このうち小規模な銀行については、外為取引が禁止されている(民間非外為商業銀行)。
2022 年 7 月時点の民間商業銀行数は 68行、支店数は 8,315店。

◇地方開発銀行
地方開発銀行は、ほぼ全ての州に設置され、地域経済の振興のための中小企業向け融資を主業務としている。
かつては長期金融専門機関と位置づけられていたが、1992 年の新銀行法によって商業銀行に変更され、一般顧客からの預金も受け入れ
ている。
2022 年 7月時点の地方開発銀行数は 27行、支店数は 4,018店。

◇外国銀行支店
インドネシアでは、外国銀行の支店に銀行免許を交付するにあたっては、全世界で総資産規模上位 200行以内の銀行であることなどの要
件が求められる。新規の免許交付は長らく行われておらず、邦銀では三菱 UFJ 銀行が 1968年に支店形態で進出している。
2022 年 7 月時点、インドネシアに支店で進出している外国銀行は 8行で、支店数は 23店。

仮にIndonesiaに進出した場合、どこの銀行とお付き合いをしていくかというのも全体俯瞰から眺めて、選択していくことが望ましいで
すね。国営と民間で分散しておくことはベースになりそうですね。