本メルマガは、週1回程度を目安に以下の3つのパートから情報をお送りさせていただく内容となっております。

  • 「Paradigm Shift -新しい価値観-」
  • 「Unique Asset Management -独自の資産形成-」
  • 「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」
 

■Paradigm Shift -新しい価値観-


現在、日本の家計が保有する金融資産の総額は、2000兆円を超えている。
日銀が3月17日に公表した2022年10~12月期の資金循環統計によると、22年12月末時点の家計金融資産は2023兆円。
その種類別構成比は、「現金・預金」が55.2%で不動のトップ。次が「保険・年金・定型保証」で26.5%(うち保険が18.7%)。
以下、「株式など」(9.9%)、「投資信託」(4.3%)、「債務証券」(1.3%)、「その他」(2.9%)と続く。

米国の家計金融資産の構成と比べてみると、「現金・預金」の比率が日本は目立って高いことに気付かされる。
投資マインドが強く、個人投資家も「肉食系」の色彩が濃い米国では、22年3月末時点のデータで、「現金・預金」は13.7%にす
ぎない。最も多いのは「株式など」で39.8%。以下、「保険・年金・定型保証」(28.6%)、「投資信託」(12.6%)、「その他」
(2.8%)、「債務証券」(2.6%)である。「株式など」と「投資信託」の合計は52%強で、半分を超えている。
なお、総額は115.5兆ドル(1ドル=136円換算で約1京5708兆円)であり、日本とはケタ違いである。

岸田内閣が資産倍増計画を打ち出す中で、「貯蓄から投資へ」というスローガンを目にする機会が増えた。
金融庁のホームページを見ると、「貯蓄」は「すぐに使うことができ、流動性の高いお金」、「投資」は「中長期的な目線で増やす
ためのお金」と、イラスト入りで定義されている。さらに、「様々な考え方がありますが」と断った上で、「一般的には、『貯蓄』
とはお金を蓄えることで、銀行の預金などがこれに当たります。一方、『投資』とは利益を見込んでお金を出すことで、株式や投資
信託などの購入がこの『投資』に当たります」と説明されている。

この考え方を、家計金融資産構成比にあてはめると、日本では比率が半分を超えている「現金・預金」を、22年12月末時点で合計14%
強にとどまっている「株式など」「投資信託」へと振り向けるよう促すのが、「貯蓄から投資へ」の基本的コンセプトになる。

ただ、この考え方は早計過ぎる。リスクというものが介在されていないように伝えられているからだ。
投資や運用を20年以上体験している私からすると「マーケットの怖さ」を痛感する場面が何度もあった。プロの運用に任せることによ
り、急激な価格変動によって保有する金融資産が大きな含み損を抱えるリスクは低減する可能性があるとは言えるものの、プロであっ
ても事前に予測できなかったリスクイベントに見舞われて大きな損失を計上するケースがしばしばあるのが、マーケットの現実である。

「貯蓄から投資」の考え方の浸透は果たしてそんなに上手くいくのか?
折角なので、資産形成ということでもあるので以下のパートで検証してみたいと思う。

 

■「Unique Asset Management -独自の資産形成-」


「貯蓄から投資」を進めるにあたり、その考えは実現性があるのかを検証してみたいと思う。

 第1に、米国の家計金融資産構成が本当に日本が「貯蓄から投資へ」を進めていく上でのモデルケースになるのかという疑念である。
米国で「現金・預金」の比率が低い背景には、キャッシュレス社会への移行が日本よりもはるかに先まで進んでおり、日常生活で現金
を使う機会が少ないことがあると考えられる。

また、米国では人口が増加を続けており、潜在成長率は、FOMC(連邦公開市場委員会)の長期見通しに沿えば、1.8%である。しかも、
インフレ率が明確にプラス基調であり、名目GDP(国内総生産)がしっかり伸びていく、したがって米国の企業収益もプラス基調が続き
、株価は上がっていくはずだという、相応に強い期待が持てる。

これに対し、人口減・少子高齢化が着実に進んでいる日本の潜在成長率は、株価は最高値を更新したものの4月時点の日銀の推計で0%
台前半にすぎない。このところの物価高で名目GDPの伸びはプラスになっているものの、先行きについては不透明感が強い。
日本の大手企業は、国内での収益積み上げの限界をとうの昔に悟っている。グローバル展開をすることによる海外収益の積み上げを強
化しており、過去最高益を更新する可能性も少なくない。

 第2に、日米の中間形とも言えるユーロ圏の家計金融資産構成をどうみるかという点である。日銀が参考で公表している比較データに
よると、ユーロ圏の家計金融資産構成では、日本と同じく「現金・預金」の比率が最も高い(34.5%)。
次が「保険・年金・定型保証」(31.9%)。以下「株式など」(19.5%)、「投資信託」(10.4%)、「その他」(2.1%)、
「債務証券」(1.6%)。ちなみに、総額は28.6兆ユーロ(1ユーロ=148円換算で約4233兆円)である。

 ユーロ圏の「株式など」と「投資信託」の構成比合計は30%弱。日本の14%強の2倍ほどだが、米国の52%強よりもかなり低い。
税制優遇を拡充するなどして、国の政策として日本の家計金融資産に占める「投資」の比率を一段と引き上げていこうとする場合でも、
現実としてはこのユーロ圏の比率まで届けば御の字といったところか。

 第3に、「貯蓄」から「投資」へと金融資産を振り向ける人々の年齢層である。上記の通り、「貯蓄から投資へ」の旗振り役の一つで
ある金融庁のホームページには、「投資」というのは「中長期的な目線で増やすためのお金」だと明記されている。落ち着いて考えてみ
ると、現実問題としてすでに人生の終盤に突入しているシニア層には、「中長期的な目線」はそぐわない。それに備えて金融資産を蓄積
してきた、わかりやすく言えばお金をコツコツとためてきた老後は、すでに到来しているか、目の前である。金融資産保有で意識すべき
タイムフレームは、「中長期」ではなく「短中期」であり、運用面で最もケアすべき点は、ハイリターンに目がくらんでハイリスク商品
に過度の投資をしないことだろう。仮に、生活を支えていくお金が運用の失敗でなくなってしまうようだと、それは文字通り「死活問題」
である。

 若い世代、中堅どころの働き盛りの世代には、「中長期」目線での金融資産の増加を企図する「貯蓄から投資へ」がフィットする度合
いが大きい。にもかかわらず、シニア層に運用リスクを一段と取るよう促す論調や雰囲気が世の中に流れやすい理由はただ一つ。
シニア層が若い世代よりも、保有する金融資産の額が多いからである。シニア層の側でも、超低金利時代が長引いており、預貯金による
運用収入がほとんど期待できず、公的年金の額には限りがある中で、株式などでリスクを取って運用しなければという切迫したムードが、
一部にあると耳にする。だが、日本のことわざにある通り、「生兵法は大けがのもと」になりかねない面がある。

「年代別に見た場合に高齢者の貯蓄額が若い世代よりも多いのは、多くの場合、老後に備えてコツコツためてきたからだろう。公的年金
だけでは余裕のあるライフスタイルを維持できない現実があり、しかも平均寿命が長くなっているので、生きているうちに保有する金融
資産が枯渇するケースを含む『長生きリスク』も意識せざるを得ない。資産運用はどうしても保守的になる。コロナ禍が終わっても、先
行きを考えると、貯蓄に回す割合は若い世代よりも高くなる。幸いなことに、若者が減少した影響で、勤め口は探せばある。高齢の身体
に鞭(むち)打って、寒風吹きすさぶ中で交通整理をしている人を見かけることもある。そうしたシニア層の現実も直視したい」

 金融市場にはローリスク・ハイリターンは存在しない。そして、金融市場における投資の成否はあくまで自己責任である。そうしたこ
とを十分認識した若年層から中堅どころの世代を軸に、「貯蓄から投資」が緩やかに進んでいくのが、おそらくは最も望ましい姿である。

結局のところ教育でしっかり落とし込んでいくしか、方法はないと感じて



 

■「Zoom In -BALI or Philippinesのリアルな生情報-」


フィリピンの電力事情

フィリピンは、アジアの中でも電力事情が多くの課題を抱えている国の一つです。
はじめてフィリピンに行ったときに、賃貸のアパートやマンションの家賃にも負けないレベルの電気料金がかかる国
だと聞いて非常に驚かされた記憶があります。
今回は、フィリピンの電力事情について、主な問題点とそれに対する取り組みについて紹介します。

1.電力供給の不足
フィリピンでは、電力需要が供給を上回ることがしばしばあります。急速な経済成長と人口の
増加により、需要は増え続けています。供給不足は、頻繁な停電や電力の安定供給への影響をもたらしています。
対策として、フィリピン政府は電力インフラの整備に注力しています。新たな発電所の建設、送電網の改善、再生
可能エネルギーへの転換などが進められています。また、外国からの投資を促進することで、電力供給の拡大を目指
しています。

2.電力料金の高さ
フィリピンの電力料金は、アジア諸国の中でも高い部類に入ります。これは、電力供給の不足
や古い設備の使用など、様々な要因によるものです。高い電力料金は、企業の競争力低下や家計の負担増加を引き起
こしています。
政府は、電力料金の引き下げを目指しています。再生可能エネルギーの導入による発電コストの低下や、効率的な
送電網の整備による損失の削減などがその一環です。また、競争原理を導入し、電力市場の自由化を進めることで、
競争による料金の引き下げを目指しています。

3.再生可能エネルギーの活用
フィリピンは再生可能エネルギー資源に恵まれた国ですが、これまでの主力は化石
燃料に依存していました。近年では、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーへの注目が高まっています。
政府は、再生可能エネルギーの導入を推進しています。FIT(Feed-in Tariff)制度やグリーンエネルギー認証
制度の導入により、再生可能エネルギーへの投資を促しています。また、地方自治体や民間企業との協力により、地
域ごとの再生可能エネルギーの開発も進められています。

まとめ
フィリピンの電力事情は、供給不足や高い料金などの課題を抱えていますが、政府の取り組みにより改善が進められ
ています。持続可能な電力供給を確保し、経済の成長と国民の生活の向上に寄与することが目指されています。
これらのことを踏まえ、国家をあげてエネルギーインフラの充実を目指しているフィリピン。一昔前であれば、中国
企業などのインフラ進出の勢いもあり、日本の事業者がフィリピンのエネルギーインフラ事業への参入は難しかった
のではないかと思いますが、今日の世界情勢を踏まえると非常に参画しやすくなっているのではないかと思われます。

西島筆